アイスノン

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【“一家にひとつ” アイスノン 誕生秘話】

誰もが使ったことがあるであろう保冷枕の代名詞『アイスノン』。
50年以上の歴史があるロングセラー商品が
どのようにして誕生したのか、ブランド担当者が語ります。

アイスノンは現在、発熱・暑さ対策を目的とした冷却・冷感商品の総合ブランドとして幅広い商品を展開しており、皆様に心地いい「冷たさ」をお届けしています。その始まりである保冷枕のアイスノンは、みなさんも子どもの頃に風邪を引いた際などに一度は使ったことがあるのではないでしょうか。

アイスノンが生まれたのは高度経済成長期、一般家庭に冷蔵庫が普及してきた1960年代のことでした。当時発熱の際に一般的に使われていた氷枕は、ゴム袋に氷を入れて使うタイプ。氷がゴツゴツとして寝心地が悪く、水漏れや氷の入れ替えにも手間がかかり、すぐに溶けて冷たさが長持ちしない、という不便な代物でした。そこで、当時の開発者は海外の食品輸送に使われていた保冷パックに目をつけ、家庭用冷凍庫で手軽に冷やして使える保冷枕という着想を得ました。

しかし、商品化には「枕としての適度な柔らかさ」と「長時間冷たさを維持する」という2つの課題が立ちはだかりました。

くず湯から得たヒントで
ついにアイスノン誕生

社員の写真

ある時、風邪を引いて寝込んでいた開発者の枕元にくず湯※が置いてありました。開発者がそのくず湯を飲んでみたところ、何時間も時間が経っているはずなのに驚くほど温かかったそうです。そこで、「くず湯のとろみにより保温されるのならば、逆に保冷効果もあるに違いない!」と考え、合成樹脂を用いて水をゲル状にしたところ、くず湯のヒントどおり柔らかさと保冷効果が両立した、理想的な保冷枕が誕生しました。

そしてついに1965年7月、氷の要らない氷枕「アイスノン」を発売します。
当初は冷凍すると完全に凍る凍結ゲルだけを使っていたため、寝心地に
やや難があったものの、その後冷凍しても固まらない不凍ゲルを使った
「アイスノンソフト」の開発に成功し、2つの課題を見事解決したのです。


くず湯とは「くず粉をお湯に溶かしてつくるとろみの強い飲み物」のことで、
くず粉の原料の『葛(くず)』には血行促進や発汗作用などがあり、風邪や
発熱時の症状を和らげることができるため昔から親しまれています。

アイスノン大ヒットの裏側

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通常、夏向けの商品は春先に発表し、夏前までに販売体制を整えておくのが業界の常識ですが、アイスノンは告知が遅かったため、当初小売側の反応は厳しかったようです。

しかし同年、梅雨明けの遅れや、不景気によって広告宣伝費を抑えて大量のCMを投下できたことが大ヒットにつながりました。テレビCMの中で、病院内でアイスノンを使うシーンがあり、冷凍庫に常備しておけば子どもの急な発熱の救世主に!と子育て世代の心を掴んだのです。その後、「寝苦しい夜の安眠枕」という需要もとらえ、アイスノンは飛ぶように売れました。

当時、大卒初任給が約2万円だったのに対しアイスノンは300円。現在に比べるとかなり高価な商品ながら、年間600万個を販売する大人気ぶりでした。
以後、アイスノンは「快適な眠り」を提供する画期的な便利グッズとして、一家にひとつの常備品となり現在に至るまで不動の地位を築いています。

私の仕事のやりがい

歴史あるブランドの商品企画に携われるという点でやりがいを感じます。
ブランドを守りながら、付加価値を創造していくことはとても難しいのですが、その難しさもまた商品企画の醍醐味だと思います。また、新製品の企画を形にしていく中で、様々な壁にぶつかることがありますが、関連部署と力を合わせてひとつずつ解決し、最終的に「完成品(製品)」となった時は特に達成感を感じますね。

自分が担当した商品が店頭に並んでいるのを見ると、手にとってくれているお客様の生活に寄り添う商品づくりに携わっているんだ、と嬉しくなります。

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